直島新美術館、2026年夏の新たな幕開け!サニタス・プラディッタスニーと岡﨑乾二郎による注目の新展示がスタート

その他

新展示内容について

サニタス・プラディッタスニーの《The Sound of Naoshima》

タイを拠点に活動するアーティスト、サニタス・プラディッタスニー氏による屋外インスタレーション《The Sound of Naoshima》が展示されています。この作品は、直島に点在する「直島八十八箇所」への敬意と、禅の公案である「隻手の声—片手で鳴らす音を心耳をもって聞く」という、経験を通じてのみ理解できる状態から着想を得ています。

タイの伝統的な技法と直島由来の素材が取り入れられ、周囲の自然に溶け込むように設置された《SILENCE》(仏塔)を中心に構成されています。このインスタレーションは、鑑賞者の感覚を研ぎ澄ませ、今この瞬間に意識を向けさせ、自然のサイクルや無常を感じる体験へと誘います。

鏡と自然のアートインスタレーション

お香立てと煙

ミラーインスタレーションに立つ女性

岡﨑乾二郎「端しき、ことの葉」

1990年代より現在まで継続的に直島で作品構想、制作、展示を行ってきた岡﨑乾二郎氏による展示「端しき、ことの葉」が、ギャラリー3の一部で展開されています。本展示では、「岡﨑乾二郎と直島」という時間軸、「言葉と絵画の関係」、そして「Reserve, Remember, Renew」をキーワードに、直島との関係で生まれた作品を含む時代の異なる作品が紹介されています。

これらの作品を通して、日常の小さな断片がつながり、記憶を呼び起こし、新しい認識を開いていく可能性について深く考察する機会が提供されています。

現代アートギャラリーの様子

鮮やかな抽象画とスツール

抽象絵画を鑑賞する人々

作家について

サニタス・プラディッタスニー

1980年バンコク(タイ)生まれ、同地を拠点に活動するアーティストです。現代アート制作のほか、ランドスケープ・アーキテクチャー・デザインも手掛けています。信仰や宗教に関連する建築の形、質感、空虚な空間に興味を持ち、鑑賞者との相互作用を促すような建築的・彫刻的作品で知られています。「アートは人々の意識を刺激するコミュニケーションの一形態である」という信念のもと、空間の文脈や素材の意味を深く研究し、仏教の「無常と空虚」の原則を反映した作品は、深い内省のための空間を提供し、鑑賞者が自身の内面と再びつながることを促します。バンコク・アート・ビエンナーレ(2018年)、タイランド・ビエンナーレ(2024年)などに参加しています。

岡﨑 乾二郎

1955年東京都生まれのアーティストであり評論家です。絵画、彫刻、風景、建築など多岐にわたる作品を手がけています。1982年のパリ・ビエンナーレ招聘以来、数多くの国際展に出品してきました。総合地域づくりプロジェクト「灰塚アースワーク・プロジェクト」の企画制作、「なかつくに公園」(広島県庄原市)などのランドスケープデザイン、「ヴェネツィア・ビエンナーレ第8回建築展」(日本館ディレクター)、現代舞踊家トリシャ・ブラウン氏とのコラボレーション公演「I love my robots」など、常に先鋭的な芸術活動を展開しています。豊田市美術館、東京都現代美術館ほかで個展・企画展を多数開催しており、2026年には第67回毎日芸術賞(美術Ⅰ部門)を受賞しています。批評活動でも高い評価を受け、芸術選奨文部科学大臣賞、毎日出版文化賞を受賞しています。

白髪の男性のポートレート

その他同時公開のサテライト展示など

下道基行 瀬戸内「緑川洋一」資料館 サテライト展示

瀬戸内海地域の景観、風土、民俗、歴史などの調査、収集、展示を通してアーカイブ空間を創出する、下道基行氏による瀬戸内「 」資料館(2019年~、直島・宮ノ浦)のサテライト展示が開催されています。この展示では、2019年に宮浦ギャラリー六区で下道氏が企画した、1930年代から2000年代初頭にかけて瀬戸内を撮影した岡山の写真家・緑川洋一氏の写真・資料展示から、1950年代の直島の製錬所で働く人々の姿を捉えた写真展示が再構成されて紹介されています。緑川氏の写真は、美しい瀬戸内の風景だけでなく、急速な近代化で傷ついた島々や、厳しい環境でもたくましく生きる人々の姿を写し出しています。

モノクロ写真が展示されたギャラリー

ライブラリープロジェクト with インディゲリラの《ゴトン・ロヨン/ 相互協力》

インドネシアの影絵芝居ワヤン・クリとポップカルチャーの影響が特徴的な作風で知られるインディゲリラ氏の作品、《ゴトン・ロヨン/相互協力》(2019年)が、ライブラリープロジェクトとして紹介されています。この作品は、福武ハウス(小豆島、2013年~2023年)での展覧会のために制作されました。インドネシアにおける相互協力の慣習を意味する「Gotong-Royong」をタイトルに持つ本作は、2人の協力と信頼関係によってはじめて前に進むことのできる乗り物であり、移動式屋台を参照しています。コミュニティ全体の目標を目指して皆で努力する協働の価値を浮き彫りにする本作を、ここでは移動式ライブラリーとして設定し、ベネッセアートサイト直島の関連書籍や雑誌などを搭載しています。書籍や雑誌は手に取ってご覧いただけますので、隣接するベネッセアートサイト直島の地図や年表の掲示とともに、ぜひご覧ください。

移動式図書館を利用する人々

次回冬の新展示について

2026年冬の展示替えでは、今津景氏とバグース・パンデガ氏による「Currents without Anchors(錨なき流れ)」展が開催される予定です(日程は確定次第発表されます)。この展覧会では、海をめぐる資源の移動、欲望の拡張、そしてそれにともなう災害と記憶を、「流れ(current)」「浄化と保存」「破壊と再生」といった概念を通して可視化を試みます。過去・現在・未来や神話と史実が交差、重なり合い、海中や森林を想起させる空間は、波のように変化する光、大量の流木や大画面の絵画、3Dプリンターによる壁面彫刻など多様な作品群と自然の素材がつながり、呼吸をする「巨大な生命体」のようです。鑑賞者はそのなかで、私たちが生きる環境や世界の状態についての深い思索に誘われることでしょう。

なお、以下の作家の作品は、冬の展示替え休館まで継続して展示されます。

  • N・S・ハルシャ(多目的カフェスペース「&CAFE」:1階)

  • マルタ・アティエンサ、ヘリ・ドノ、ヘリ・ドノ&インディゲリラ、パナパン・ヨドマニー(ギャラリー1:1階)

  • ソ・ドホ(ギャラリー2:地下1階)

  • 村上隆、会田誠(ギャラリー3:地下2階)

  • 蔡國強(ギャラリー4:地下2階)

パブリック・プログラムについて

直島新美術館では、展覧会の企画・展示とともに、パブリック・プログラム等を通して、人々が繰り返し訪れ、島内外の多種多様な人々が出会う交流・連携の場となることを目指しています。2026年6月以降に予定されているプログラムは以下の通りです。内容や時間は変更になる場合がありますので、最新情報はウェブサイトをご確認ください。

トーク 「アーティストトークマラソン2026」

展示替えを受け、参加アーティストたちが展示中の作品について語るトークマラソンが開催されます。

  • 日時: 2026年6月7日(日) 10:30~12:00

  • 会場: 直島新美術館 多目的カフェスペース「&CAFE」

  • 参加費: 無料

  • 通訳: 英日逐次通訳が予定されています。

  • スケジュール:

    • 10:30 サニタス・プラディッタスニー氏

    • 11:00 下道基行氏、緑川洋一氏ご家族

    • 11:30 岡﨑乾二郎氏

    • 12:00 終了

詳細はこちらをご確認ください。

トーク《幸せな結婚生活》をめぐって~ミクロとマクロが出会うとき

N・S・ハルシャ氏の作品《幸せな結婚生活》で描かれている顕微鏡の世界(ミクロ)と望遠鏡の世界(マクロ)の結婚のテーマにちなみ、ミクロの世界を探求する生物学者とマクロの世界を探求する宇宙の専門家が共に会し、ミクロとマクロの視点の出会いを通して、作品の豊かな世界観に触れ、作品理解を広げます。

  • 日時: 7月11日(土)16:00~18:00

  • 会場: 直島新美術館 多目的カフェスペース「&CAFE」

  • 登壇者:

    • 小林武彦氏(東京大学定量生命科学研究所 教授、日本学術会議会員 )

    • 村木祐介氏(宇宙航空研究開発機構(JAXA) 第一宇宙技術部門 地球観測プログラム戦略室 参事 )

  • 司会: 三木あき子氏

  • 参加費: 無料

詳細はこちらをご確認ください。

施設基本情報

施設情報

  • 名称: 直島新美術館

  • 所在地: 香川県香川郡直島町 3299-73

  • 開館時間: 10:00 ~ 16:30(最終入館16:00)

  • 一般問合わせ先: info-newmuseum@fukutake-artmuseum.jp

  • 休館日: 月曜日(ただし、祝日の場合開館、翌日休館)※不定休あり。ベネッセアートサイト直島ウェブサイトの開館カレンダーにて随時更新されます。

  • 駐車場: 一般車両(20台)、自転車(15台程度) いずれも無料

  • 施設URL: 直島新美術館

チケット

ベネッセアートサイト直島とは

「ベネッセアートサイト直島」は、直島・豊島(香川県)、犬島(岡山県)を舞台に、株式会社ベネッセコーポレーションと公益財団法人 福武財団が展開しているアート活動の総称です。

瀬戸内海の風景の中、ひとつの場所に時間をかけてアートをつくりあげていくこと。各島の自然や地域固有の文化の中に、現代アートや建築を置くことによって、どこにもない特別な場所を生み出していくことが、「ベネッセアートサイト直島」の基本方針とされています。各島でのアート作品との出合い、日本の原風景ともいえる瀬戸内の風景や地域の人々との触れ合いを通して、訪れる方々がベネッセコーポレーションの企業理念である「ベネッセ―よく生きる」とは何かについて考えてくださることを目指しています。

そして、活動を継続することによって地域の環境・文化・経済すべての面において社会貢献できるよう、現代アートとそれを包括する場である地域がともに成長し続ける関係を築いていきたいと考えているそうです。

ベネッセアートサイト直島の歴史については、こちらのURLをご参照ください。

まとめ

直島新美術館の2026年夏の展示は、現代アートの最前線を体感できるだけでなく、地域の歴史や文化、自然との対話を通じて、鑑賞者自身の内面を見つめ直す貴重な機会を提供しています。新たな発見と感動に満ちた直島新美術館へ、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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