全創作者に贈る、誰も見たことのない執筆指南書
本書は、ベストセラー『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮社)の著者である杉井光氏が初めて手掛けた「小説の書き方」に関する実用書です。しかし、一般的な創作入門書とは異なり、キャラクター論や描写技術、構成の基礎といった基本的な内容は扱いません。本書が扱うのは、ただ一つ、「全ジャンルの文芸に応用可能なミステリ技法」のみです。
著者は「はじめに」で、「実はミステリほど幅広く応用が利き、実際に応用され、物語を面白くする確かな効用を持つ技法は他にありません。あえて断言します。ミステリが最強の文芸である――と。」と述べています。この言葉が示す通り、ミステリは単なる謎解きジャンルにとどまらず、物語をより深く、より魅力的にするための「最強の文芸」として位置づけられています。
ミステリ技法が物語を面白くする理由
本書では、「ミステリとは何か」という根源的な問いから始まり、なぜミステリ技法があらゆるジャンルの物語に強烈な効用をもたらすのか、そしてその技法をどのように活用すべきかを具体的に解説しています。実際にミステリ技法が使われている具体例も多数挙げられており、読者はその効果を実感しながら学ぶことができるでしょう。
本書でしか読めないサンプル小説を収録
本書の大きな見どころの一つは、ここでしか読めない二篇のサンプル小説です。教材として収録されているのは、『白薔薇の君』と『我が家の人食いガガジ』。これらの短編小説を楽しみながら、伏線、ミスディレクション、真相の隠蔽といったさまざまな技法がどのように張り巡らされているのかを、物語を振り返る形で詳細に解説しています。

ベストセラーの驚愕トリックを完全ネタバレ解説
もう一つの注目点は、第4章で展開されるベストセラー『世界でいちばん透きとおった物語』(新潮文庫nex)の徹底解説です。この章では、同作品の「あの要素」を含め、驚愕のトリックが完全ネタバレ前提で分解されます。なぜそのトリックが成立したのか、どこで読者の視線を誘導したのか、何を伏せ、何を見せたのかといった制作の裏側が詳細に明かされており、作品のファンにとっても垂涎の内容と言えるでしょう。

本書の構成
本書の目次からは、ミステリ技法を多角的に学べる構成がうかがえます。
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はじめに
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第1章 ミステリがなぜ最強なのか
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第2章 ミステリとは伏線の芸術である
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第3章 サンプル短編による実践編
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第4章 サンプル長編による実践編
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第5章 伏線回収の心得
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第6章 叙述トリックについて
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おわりに



伏線の重要性から始まり、具体的なサンプルを用いた実践、そして叙述トリックといった高度な技法まで、段階的に学べるよう構成されています。特に第5章の「伏線回収の心得」では、伏線回収の順番や、読者に見抜かれることを恐れないといった実践的なアドバイスが提供されており、物語をより深く構築するためのヒントが満載です。
「面白い小説を書く技術を教える本」
杉井光氏は「おわりに」で、「本書は世界初の、『面白い小説を書く技術を教える本』です。水を漏らさず運ぶ方法ではなく、井戸を掘る方法を解説した本なのです。」と力強く語っています。この言葉は、本書が単なるテクニック集ではなく、物語の本質的な面白さを生み出すための思考法や視点を提供するものであることを示唆しています。
近年の連続ドラマや配信コンテンツでは、「予測不能なノンストップ考察ミステリー」がトレンドとなっており、考察コミュニティの活性化が進んでいます。読者や視聴者は、伏線回収の快感や意外な真相への感動を求める傾向にあるため、本書で解説されるミステリ技法は、現代の物語制作において強力な武器となるでしょう。
様々なジャンルでミステリ技法を駆使してきた杉井光氏だからこそ提案できる、トリックの最大活用法が詰まった一冊です。創作者が読むだけでインスパイアされ、新たな物語に挑みたくなることはきっと間違いありません。また、面白い物語がどのように作られているかを知りたい読み手にも、深く楽しめる内容となっています。
著者プロフィール
杉井 光(すぎい ひかる)
1978年、東京都生まれ。電撃小説大賞の銀賞を受賞し、2006年に電撃文庫『火目の巫女』でデビューしました。その後、電撃文庫「神様のメモ帳」シリーズがコミカライズ、アニメ化されるなど、多方面で活躍されています。ほかの著書には「楽園ノイズ」シリーズ、「世界でいちばん透きとおった物語」シリーズ、『羊殺しの巫女たち』など多数あります。
書誌情報
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書名:ミステリが最強の文芸である “世界でいちばん”のトリック技法
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著者:杉井 光
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定価 :1,980円(税込)
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判型:188✕128mm
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ページ数:256ページ
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ISBN:978-4537223682
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発売日:2026年3月12日
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