現代社会におけるクマとの共存を問う
近年、クマの出没がニュースで頻繁に取り上げられ、そのたびに人間とクマの関係性について議論が交わされています。特に2025年には、クマの出没が例年になく多く報告され、多くの人々が不安を感じたことでしょう。なぜこれほどまでにクマの行動が変化しているのでしょうか。そして、私たちはこの状況にどう向き合えば良いのでしょうか。
東京農工大学大学院農学研究院教授であり、25年以上にわたりツキノワグマの生態を研究してきた小池伸介先生は、その知見から「クマはもう人間を恐れてはいない!?」という衝撃的な問いを投げかけます。小池先生の著書『クマは都心に現れるのか?』は、感情論に流されず、科学的根拠に基づいたクマの真実と、人間との共存の道を探る一冊として、2026年3月2日に扶桑社より発売されました。

クマ博士が明かす「本当のクマの話」
小池伸介先生は、長年の研究を通じて、ニュースやインターネットでは伝えられないクマの「本当の姿」を明らかにしてきました。2025年にクマの出没が異常に多かった背景には、クマの世界で一体何が起こっているのか、そして2026年はどうなるのか、その疑問に答えるための正しい知識が本書には詰まっています。
書籍では、以下のような「知っておきたいクマの真実」が多角的に解説されています。
冬眠しないクマはいない
クマが冬眠しないという誤解がありますが、小池先生は「冬眠しないクマはいない」と明言しています。クマの冬眠は、その生存戦略において不可欠な行動であり、季節の移ろいとともに彼らの生活サイクルに組み込まれています。冬眠のメカニズムやその重要性について、科学的な視点から詳しく解説されています。
驚くべきクマの学習能力と行動範囲
クマは非常に高い学習能力を持ち、環境に適応する柔軟性があります。一度食べ物の味を覚えると、それを求めて行動範囲を広げることがあります。また、その行動範囲は想像以上に広く、人間社会との接点が増える要因の一つとなっています。この学習能力が、時に人里への出没に繋がることも指摘されています。
クマにとって人間は“邪魔な存在”
小池先生の研究によれば、クマにとって人間は必ずしも「怖い存在」ではなく、「邪魔な存在」であると捉えられている側面があります。彼らの生息地を奪い、行動を制限する存在として、人間が認識されているという視点は、これまでのクマに対する一般的な見方とは異なるものです。
クマの一番の死因は“子殺し”
自然界におけるクマの死因は多岐にわたりますが、意外にも「子殺し」が重要な要因の一つであることが指摘されています。これは、オスグマがメスグマの発情を促すために子グマを殺すという、厳しい自然の摂理に基づく行動です。この事実は、クマの個体数変動を理解する上で重要な要素となります。
“鈴は意味ない”は本当?
クマ対策として一般的に推奨されるクマ鈴ですが、「鈴は意味ない」という声も聞かれます。本書では、このクマ鈴の効果についても科学的な見地から検証されています。どのような状況で効果があり、どのような状況では効果が薄いのか、その真実が明らかにされることでしょう。
奥多摩から都心へ移動する?
近年、クマの生息地が拡大し、人里に近い場所での目撃情報が増えています。特に奥多摩のような地域から、さらに都市部へとクマが移動する可能性についても、小池先生は言及しています。都市部への出没は、人間社会に大きな影響を与えるため、その可能性を理解することは重要です。
クマは多いのか少ないのか?
クマの個体数については、地域によって「多すぎる」「少なすぎる」といった意見が聞かれます。本書では、正確な個体数調査やその変動要因について解説し、クマの現状を客観的に把握するための情報が提供されています。これにより、感情論に左右されない対策を考える基礎が築かれることでしょう。
人間とクマが共存するためにやるべき、本当のこと
最終的に、小池先生は人間とクマが持続的に共存していくために、私たち人間が本当にやるべきことは何かを提言しています。それは単なる対策ではなく、クマの生態を深く理解し、彼らの行動パターンを予測し、適切な距離感を保ちながら、互いの生息域を尊重する姿勢が求められることを示唆しています。
著者プロフィール

小池 伸介(こいけ しんすけ)
1979年、名古屋市生まれ。東京農工大学大学院農学研究院教授。東京農工大学大学院連合農学研究科を修了し、博士(農学)の学位を取得されています。専門は生態学で、森林生態系における生物間相互作用やツキノワグマの生物学を主な研究対象としています。現在は、東京都奥多摩、栃木県、群馬県の足尾・日光山地、神奈川県丹沢山地などにおいて、ツキノワグマの生態や森林での生き物同士の関係を研究されています。著書には『クマが樹に登ると』(東海大学出版部)、『わたしのクマ研究』(さ・え・ら書房)、『ツキノワグマのすべて』(文一総合出版)、『ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら』(辰巳出版)、『タネまく動物』(編著、文一総合出版)などがあります。2024年からはNGO日本クマネットワークの代表も務めていらっしゃいます。
書籍情報
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タイトル:『クマは都心に現れるのか?』
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定価:1100円(税込)
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発行:扶桑社
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発売日:2026年3月2日(月)
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判型:新書版
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ISBN:978-4594102272
本書は全国の書店、ネット書店にて発売中です。
この一冊を通じて、クマとの共存に向けた新たな視点が得られることでしょう。


