高市政権も推進する「核融合発電」の全貌を解説!書籍『核融合発電で世界はこう変わる』3月17日発売

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2030年代の実現を目指す「核融合発電」の最前線

長年にわたり「夢のエネルギー」とされてきた核融合発電が、今、大きな転換点を迎えています。2030年代には商業運転開始を目指す米ベンチャー企業の動きや、高市政権が成長戦略として推進していることなど、その実現に向けた期待が高まっています。この注目の技術について、核融合研究の最前線から社会への影響までをわかりやすく解説する書籍、『核融合発電で世界はこう変わる』(高嶋哲夫著)が、2026年3月17日にPHP研究所より発売されました。

核融合発電で世界はこう変わる

なぜ「夢のエネルギー」と呼ばれるのか

核融合発電は、その燃料源と環境負荷の低さから「理想の技術」として注目されています。燃料となるのは、海水から採取できる重水素と三重水素で、これらの燃料はほぼ無尽蔵に存在し、資源枯渇の心配がありません。また、発電プロセスにおいて高レベルの放射性廃棄物や二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化対策や環境保護の観点からも極めて有望な技術とされています。

しかし、核融合反応を安定的に持続させるためには、太陽の中心部のような超高温・超高密度のプラズマ状態を作り出し、それを強力な磁場で閉じ込めるという非常に高度な技術が求められます。この技術的なハードルの高さから、これまで「夢のエネルギー」と呼ばれてきました。

世界で進む核融合開発競争と日本の役割

現在、核融合研究は国家プロジェクトと民間企業の両方で急速に進展しています。EU、日本、米国などが参加する国際共同プロジェクト「ITER(国際熱核融合実験炉)」では、2030年代に本格的な核融合実験を行う計画が進行中です。これは、核融合反応の科学的・技術的実現可能性を実証することを目的とした大規模な取り組みです。

一方で、民間企業もこの分野に積極的に参入しており、特に米国のスタートアップ企業CFS(Commonwealth Fusion Systems)は、2030年代初頭に商業運転を開始する予定であると発表し、核融合の社会実装が現実味を帯びてきました。このような動きは、核融合がもはや遠い未来の技術ではなく、現実のエネルギー政策として検討される段階に入りつつあることを示しています。

日本企業も核融合開発において重要な役割を担っています。超電導磁石、加熱装置、遠隔保守装置など、多くの分野で世界をリードする技術を提供しており、国際的な開発競争の中で日本独自の戦略を描くことができると期待されています。

核融合がもたらす「エネルギー革命」とその影響

核融合発電の最大の特徴は、「最初のハードルは高いが、いったん実用化されれば長期間にわたって安価に利用できるエネルギー」である点です。この技術が実装されれば、世界のエネルギー情勢は大きく変わるでしょう。化石燃料への依存から脱却し、エネルギー安全保障が大幅に改善される可能性を秘めています。

エネルギーの多くを輸入に頼る日本にとって、核融合はエネルギー自立をもたらす潜在的な技術です。現在の国際情勢において、特定の地域での紛争や航路の封鎖などで原油価格が高騰するリスクがある中、核融合発電の実現は、日本の経済安定と国民生活に計り知れない恩恵をもたらすかもしれません。

一方で、核融合を実用化した国だけが圧倒的な優位を得る可能性も指摘されています。そのため、国際的な枠組みを構築し、核融合エネルギーの利益が特定の国や企業だけに偏らない仕組みを考えることが重要であると、著者の高嶋氏は強調しています。これは、技術の進歩がもたらす新たな国際秩序形成における重要な課題と言えるでしょう。

元研究者であり小説家・高嶋哲夫氏が描く未来

本書の著者である高嶋哲夫氏は、異色の経歴を持つ人物です。慶應義塾大学工学部を卒業後、日本原子力研究所研究員として、当時世界最高水準だった核融合実験装置JT-60の研究開発に携わり、1979年には日本原子力学会技術賞を受賞しています。その後、研究のためアメリカに留学した際に研究者としての限界を痛感し、小説家への転身を決意しました。

この経験は、『メルトダウン』や『ミッドナイト・イーグル』といった小説作品として昇華され、高い評価を得ています。高嶋氏は、元研究者であり作家という独自の立ち位置から、「専門家でも素人でもない距離感で、核融合と社会の関係を描き続けることは今の自分にしか持てない」と語り、今後も核融合に関するテーマに意欲的に取り組んでいく姿勢を示しています。その深い専門知識と物語を紡ぐ力が融合することで、本書は読者に核融合発電のリアルな姿を伝えています。

書籍『核融合発電で世界はこう変わる』について

本書では、核融合発電の原理から世界の開発競争、そして社会にもたらす影響まで、多角的に解説されています。

目次より抜粋:

  • 地上に太陽をつくる──核融合の原理

  • 核分裂発電と核融合発電の違い

  • 核融合の燃料──水素、重水素、三重水素

  • 核融合から熱エネルギーを取り出し、電気に変える

  • 中国の次世代核融合炉「BEST」

  • アメリカ・CFS(Commonwealth Fusion Systems)──核融合商用化に最も近い企業

  • 京都フュージョニアリング株式会社(Kyoto Fusioneering)──核融合発電に無くてはならない周辺技術ベンチャー企業

  • 高市政権と核融合政策──予算と制度から見える「本気度」

  • 日本が「エネルギー輸出国」になる

  • なぜ「水素」が、電力格差を超えるキーなのか

  • 核融合は巨大な熱源、水素をつくれ

  • 核融合は静かに実現段階に入りつつある

  • まず起こるのは「核融合発電社会」──置き換えの段階で何が起きるか

著者略歴:

高嶋哲夫(たかしま・てつお)氏は1949年岡山県生まれ。慶應義塾大学工学部を卒業後、日本原子力研究所研究員として核融合実験装置JT-60の研究開発に携わりました。1979年に日本原子力学会技術賞を受賞。カリフォルニア大学留学を経て小説家に転身し、『メルトダウン』で第1回小説現代推理新人賞、『イントゥルーダー』で第16回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞するなど、数々の実績を持つ作家です。

書誌情報:

  • 書名: 核融合発電で世界はこう変わる

  • 著者: 高嶋哲夫

  • 定価: 1,155円(税込)

  • 判型・製本・頁数: 新書判・並製・208ページ

  • ISBN: 978-4-569-86076-3

  • レーベル: PHP新書

  • 発行: PHP研究所

  • 発売日: 2026年3月17日

核融合発電が拓く未来への期待

本書は、核融合発電がもはやSFの世界の話ではなく、具体的な技術開発と政策推進のもと、現実のものとして迫っていることを示しています。エネルギー問題の根本的な解決策として期待される核融合発電は、私たちの社会、経済、そして日常生活に計り知れない影響を与えるでしょう。

高嶋哲夫氏の長年の研究経験と作家としての洞察力が結実したこの一冊は、核融合発電の可能性と課題を深く理解するための貴重な道しるべとなります。未来のエネルギーについて考え、世界の変革を予見したい方にとって、必読の書と言えるでしょう。

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