水瀬ケンイチ氏の名著「お金は寝かせて増やしなさい」の改訂版が2022年12月に発売され、初版との違いが気になっている方も多いのではないでしょうか。
私は投資歴10年の個人投資家として、実際に初版を読んで投資を始め、改訂版も熟読しました。両方を読み比べた立場から、どちらを選ぶべきかを詳しく解説します。
この記事では、基本情報から内容面の違い、さらに実践者の視点からの価値評価まで、購入判断に必要な情報をすべてお伝えします。
基本情報の比較
まずは両版の基本的な違いから見ていきましょう。
| 項目 | 初版(2017年) | 改訂版(2022年) |
|---|---|---|
| 発売日 | 2017年12月15日 | 2022年12月14日 |
| ページ数 | 280ページ | 320ページ |
| 価格(税込) | 1,620円 | 1,650円 |
| 章構成 | 第8章まで | 第9章まで |
| 新NISA対応 | なし | あり |
| つみたてNISA対応 | 簡単な言及のみ | 詳細解説 |
価格差はわずか30円で、40ページ分のボリュームアップがあります。章構成では新たに第9章「15年実践してわかった、手間のかからないほったらかし投資の極意」が追加されています。
内容面での主要な違い
制度改正対応
NISA制度の変更反映
初版では一般NISAの説明が中心でしたが、改訂版では:
- つみたてNISAの詳細な解説
- 2024年からの新NISA制度の説明
- 制度選択のポイント
iDeCo制度変更への対応
2022年に実施されたiDeCo制度改正を反映:
- 加入年齢の拡大(65歳まで)
- 受給開始年齢の拡大(75歳まで)
- 企業型DCとの併用拡大
新たに追加された内容
コロナショック体験談
2020年のコロナ相場での実体験が詳細に追加されています:
- 暴落時の心境と対処法
- 相場回復過程での心理的変化
- 長期投資の威力を実感した体験
15年間の投資実践から得た新知見
新たに追加された第9章では:
- 投資を続ける中で変化した心境
- ほったらかし投資の真の意味
- 長期投資家として成熟していく過程
最新の投資環境への言及
- ESG投資やテーマ型投資への見解
- インフレ時代の投資戦略
- 近年の金融商品の進化
削除・修正された内容
古くなった情報の整理
- 制度変更により不要になった記述の削除
- 投資信託の手数料水準の更新
- ネット証券の画面操作方法の最新化
実際に比較してみると、改訂版は単なる制度対応にとどまらず、5年間の投資実践で得られた新たな知見が豊富に盛り込まれています。

【投資歴10年の視点】改訂版の価値評価
初心者にとっての価値
最新制度への対応メリット
これから投資を始める方にとって、改訂版の価値は計り知れません。特に新NISA制度の詳細解説は、2024年以降に投資を始める方には必須の情報です。
私が初版を読んだ2018年当時と比べ、投資環境は大きく改善されています。改訂版ではその変化を踏まえた最適な投資戦略が示されています。
より豊富な実体験から学べる点
初版でも失敗談は豊富でしたが、改訂版ではコロナショックという大きな試練を経た体験談が追加されています。これから投資を始める方が必ず直面する「暴落への恐怖」に対する具体的な対処法を学べます。
経験者にとっての価値
長期投資継続のヒント
投資歴10年の私でも、改訂版の第9章は非常に参考になりました。15年という長期間の投資実践から得られる心境の変化や、投資に対する考え方の進化は、中級者以上にとって貴重な示唆に富んでいます。
新たな相場環境での対処法
コロナショック、インフレ懸念、地政学リスクなど、近年の複雑な相場環境での投資継続方法について、実践的なアドバイスが得られます。
筆者の実体験を交えた評価
初版を読んで始めた投資の結果
私は初版を読んで2018年からつみたてNISAを開始しました。その結果:
- 年利回り約6%でコツコツ資産形成
- 2020年のコロナショックも乗り切り
- 現在まで投資を継続中
初版の教えは間違いなく正しかったと実感しています。
改訂版で新たに学んだこと
改訂版を読んで特に印象的だったのは:
- 投資家として「成熟」していく過程の描写
- 相場に一喜一憂しなくなる心境の変化
- ほったらかし投資の真の意味への理解
10年間投資を続けてきた私自身も、似た心境の変化を経験しており、非常に共感できる内容でした。
購入判断ガイド
改訂版をおすすめする人
- これから投資を始める初心者
- 新NISA制度を活用したい人
- 最新の投資環境での実践方法を知りたい人
- 長期投資の継続に不安を感じている人
- コロナショックのような暴落への対処法を学びたい人
初版で十分な人
- すでに長期投資を実践している経験者
- 制度の詳細は別途調べられる人
- 基本的な投資哲学だけを学びたい人
- 予算を抑えたい人(中古本などを活用)
両方読む価値がある人
- 投資の学習に熱心な人
- 著者の投資哲学の変遷に興味がある人
- 5年間の投資実践でどんな変化があったかを知りたい人
私の結論として、迷ったら改訂版を選ぶべきです。価格差は30円と微小で、得られる価値の差は大きいからです。
QAコーナー
Q1: 初版を持っていても改訂版を買う価値はありますか?
A: はい、特に以下に当てはまる方には購入価値があります。
- 新NISA制度を詳しく理解したい
- コロナショックなどの最新の相場体験談を読みたい
- 15年の長期投資から得られた新たな知見に興味がある
- 投資を続ける中で心境の変化を感じている
私自身、初版を持っていましたが改訂版も購入し、新たな発見がありました。
Q2: 改訂版の追加内容のボリュームはどの程度ですか?
A: 約40ページ分の追加・修正があります。
新章(第9章)が約20ページ、既存章での制度対応や体験談追加が約20ページです。単純な追加だけでなく、全体的なアップデートが行われています。
Q3: どちらから読み始めるべきですか?
A: 現在なら迷わず改訂版から読み始めることをおすすめします。
理由:
- 最新の制度に対応している
- より豊富な実体験から学べる
- 価格差が小さい
- 投資環境の変化を踏まえた内容
Q4: 基本的な投資方針に変更はありますか?
A: 基本的な投資方針(インデックス投資による長期投資)に変更はありません。
ただし、以下の点で実践面でのアドバイスが充実しています:
- より具体的な商品選択の指針
- 制度活用の優先順位
- 投資を継続するための心構え
Q5: 電子書籍版と紙の本、どちらがおすすめですか?
A: 投資の参考書として長く活用することを考えると、用途に応じて選択するのがベストです。
電子書籍のメリット:
- 検索機能で必要な情報をすぐ見つけられる
- 持ち運びが便利
- 価格が安い場合が多い
紙の本のメリット:
- 重要な箇所にマーカーを引きやすい
- ページをめくりながら全体を把握しやすい
- 読書体験が良い
私は両方持っていますが、日常的な参照には電子書籍が便利です。
まとめ
「お金は寝かせて増やしなさい」改訂版は、単なる制度対応を超えた価値ある改訂でした。
改訂版の主な価値:
- 新NISA制度への完全対応 – 2024年からの新制度を詳しく解説
- 15年間の実践から得た新知見 – 長期投資継続のリアルな体験
- 現代的な投資環境への対応 – コロナショック、インフレ時代の投資術
- 投資家としての成熟過程 – 心境の変化と投資哲学の深化
投資歴10年の私からの最終推奨:
これから投資を始める方はもちろん、すでに投資をしている方にとっても、改訂版から得られる知見は投資判断に必ず役立ちます。特に、長期投資を「継続する技術」について新たな発見があるはずです。
初版と改訂版で迷っている方は、ぜひ改訂版を選んでください。その30円の差額は、きっと何倍にもなって返ってくることでしょう。
投資は「知識」と「実践」の両輪で成り立ちます。この本で得た知識を、ぜひ実際の投資に活かしてみてください。
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