映画版とは異なる壮大な物語が描かれる、原作漫画『風の谷のナウシカ』。映画しか知らない方には驚きの展開や深いテーマが満載です。本記事では、映画と漫画の違いを分かりやすく解説し、原作の魅力に迫ります。ナウシカの本当の物語を知りたい方、必見!
風の谷のナウシカ 原作漫画、映画版について
こんにちは、映画・漫画評論家のかめきちです。宮崎駿監督の代表作『風の谷のナウシカ』は、映画として広く知られていますが、実は原作漫画と映画版では多くの違いがあることをご存知でしょうか?
映画を観た後に漫画を読むと「全く別の作品では?」と驚く方も多いはずです。今回は、「風の谷のナウシカ」の映画版と原作漫画の違いを徹底解説し、それぞれの魅力に迫ります。

個人的には原作漫画は絶対に読んでほしいです!奥深さがあって読み応えがあります♪
原作漫画と映画版の物語の規模と設定の違い
映画版:シンプルなストーリーラインと限定された世界観
映画版の『風の谷のナウシカ』は、「風の谷」「トルメキア王国」「ペジテ市」という3つの勢力のみが登場する比較的シンプルな構成になっています。トルメキア王国がペジテ市から古代兵器「巨神兵」を略奪して運搬中、腐海の蟲に襲われて風の谷に墜落するところから物語が始まります。
ナウシカが腐海の秘密を探りながら、風の谷を守るために奮闘する姿を描いた物語で、上映時間約117分という制限の中でコンパクトにまとめられています。
原作漫画:壮大なスケールと複雑な世界設定
一方、原作漫画は全7巻におよぶ大作で、「トルメキア王国」と「土鬼(ドルク)諸侯国」という二大国間の壮絶な戦争が主軸となり、その中でナウシカが活躍する物語です。
映画には登場しない「土鬼諸侯国」や「シュワの墓所」など、より広大な世界観が展開されます。登場人物も映画版よりはるかに多く、森の人「セルム」、土鬼王国末裔の「チクク」、土鬼の「僧正」、トルメキア王国「ヴ王」など重要人物が目白押しです。
ポイント: 映画は原作漫画の最初の2巻までの内容にほぼ相当し、残りの5巻分の物語は映画では描かれていません!
ナウシカのキャラクター設定が原作漫画と映画版で違いあり

映画版:「聖女」としての純粋なヒロイン
映画版のナウシカは、常に優しく、生命を尊重する「聖女」のような純粋なキャラクターとして描かれています。傷ついた王蟲の子を命がけで守り、キツネリスに噛まれても「こわくない」と優しく接する姿が印象的です。
原作漫画:複雑な内面を持つ戦士的ヒロイン
原作漫画のナウシカは、より複雑で多面的な性格を持っています。風の谷の族長ジルの「跡継ぎ」として責任を背負い、時には男性的な言葉遣いをすることもあります。優しさだけでなく、「勇ましさ」も兼ね備えており、時には土鬼の「僧正」を人質にとるなど、強引な行動をとることもあります。
土鬼の僧正に「やさしさと猛々しさが混然として奥深い」と評されるキャラクターで、映画よりもずっと重い選択を迫られる場面が多々あります。
クシャナのポジションと役割が違う
映画版:明確な「敵役」としてのクシャナ
映画版ではクシャナはトルメキア軍の将軍として登場し、ナウシカと対立する「敵役」として描かれています。物語終盤ではナウシカとの和解を示唆するシーンもありますが、基本的には腐海と共存しようとするナウシカとは相容れない立場にあります。
原作漫画:複雑な政治的立場と内面
原作漫画でのクシャナは、より複雑な政治的状況に置かれています。トルメキア王国内の権力闘争に巻き込まれ、父ヴ王や3人の兄たちから命を狙われるなど、自身も過酷な状況と戦っています。また漫画ではナウシカとクシャナは同盟関係にあり、敵対するというより協力関係にあることが多いです。
そもそも腐海と王蟲の真実について違いがあり
映画版:謎のままの腐海と王蟲
映画版では、腐海や王蟲の正体について完全には明かされません。ナウシカは腐海の地下で浄化された環境を発見し、腐海が世界を浄化している可能性を示唆しますが、詳細な説明はありません。
原作漫画:明かされる衝撃的真実
原作漫画では、腐海や王蟲の存在目的が詳細に明かされます。腐海は汚れた世界を浄化する役割を持ち、蟲はその腐海を守るために存在しています。さらに衝撃的なのは、これらがすべて旧人類によって計画的に作られたものだという真実です。
現代の人間(ナウシカたちを含む)も、浄化の過程を見守るために旧人類によって作られた存在であり、完全な浄化が完了すれば消滅してしまうことも明かされます。
巨神兵のポジションと「オーマ」の存在

映画版:文明崩壊の象徴としての巨神兵
映画版では巨神兵は過去の戦争の遺物として登場し、一度復活するものの、すぐに崩壊してしまいます。物語上では文明崩壊の象徴であり、戦争の愚かさを表すオブジェのような位置づけです。
原作漫画:「ナウシカの子」としての巨神兵オーマ
原作漫画では、巨神兵「オーマ」がナウシカを「ママ」と呼んで慕う存在として登場します。ナウシカは最終決戦でオーマの力を利用するため、母親として接しながらも、心の中では「この子の死を願っている」という複雑な感情を抱えています。
オーマは物語の結末に大きく関わる存在であり、ナウシカとの関係性も重要なテーマとなっています。
物語の結末の違い
映画版:希望に満ちた和解のラスト
映画版は、ナウシカが王蟲と心を通わせ、風の谷を救い、敵対していたクシャナたちとも和解に至るという希望に満ちた結末となっています。「青い衣の者が来て、人と大地の懸け橋となる」という予言が成就し、明るい未来が示唆されます。
原作漫画:重厚で複雑な終幕
原作漫画の結末は映画とは大きく異なります。ナウシカは「シュワの墓所」の主と対決し、巨神兵オーマの力を使って墓所を破壊します。旧人類が計画した「浄化された世界」ではなく、腐海と共に生きる道を選択したナウシカ。
映画のような明るいハッピーエンドではなく、「どんなに苦しくとも」生きていく決意を示す、希望と覚悟が入り混じった重厚な結末となっています。
テーマの深さと問いかけの違い
映画版:環境保護と反戦のメッセージ
映画版は環境保護と反戦のメッセージが明確に打ち出されていますが、2時間という制約のため、それらのテーマをシンプルな形で提示しています。
原作漫画:多層的な問いかけと倫理的ジレンマ
原作漫画では、環境問題だけでなく、生命倫理、科学技術の暴走、文明批判、権力と知識の独占問題など、より多層的なテーマが掘り下げられています。特に「生命を操る技術」がもたらす倫理的問題や、旧人類の計画に従うべきか否かという哲学的な問いが中心テーマとなっています。
宮崎駿監督が12年以上かけて描き続けた漫画には、映画には収めきれなかった深い思想と問いかけが込められているのです。
まとめ:どちらも素晴らしい別の作品として楽しもう
映画版と原作漫画の『風の谷のナウシカ』は、同じ題材から生まれながらも、全く異なる魅力を持つ作品と言えます。映画版がシンプルで力強いメッセージを持つ作品だとすれば、原作漫画はより複雑で奥深い物語世界を持つ大作です。
映画を観て感動した方は、ぜひ原作漫画も手に取ってみてください。そこには映画では描かれなかった壮大な物語と、宮崎駿監督の思想が余すことなく表現されています。どちらかが優れているというものではなく、それぞれが異なる形で素晴らしい作品となっているのです。
読むならどこから? 原作漫画の楽しみ方
原作漫画を読むのに挫折してしまう方も多いようです。というのも、物語が複雑で登場人物も多いため、途中で読むのが難しくなることがあるからです。
そんな時は、映画に対応する第1巻から第2巻の前半までを読んだ後、思い切って最終巻(第7巻)から読むという方法もあります。最終巻にはそれまでの物語の真相が明かされ、宮崎駿監督の伝えたかったメッセージが凝縮されています。全体像を掴んだ上で再び最初から読むと、より深く物語を理解できるでしょう。
いかがでしたか? 『風の谷のナウシカ』の映画版と原作漫画の違いについて、理解を深めていただけたでしょうか。それぞれの作品が持つ魅力を知ることで、より一層この名作を楽しめるはずです。
あなたはすでに原作漫画を読みましたか? もし読んでいないのなら、映画の感動をさらに深める体験ができるはずです。ぜひチャレンジしてみてください!
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