2024年の本屋大賞を受賞し、14もの賞を総なめにした宮島未奈さんのデビュー作『成瀬は天下を取りに行く』。「史上最高の主人公」と称された作品にも関わらず、「面白くない」「つまらない」という声も一部で聞かれます。本当にこの作品は期待ほど面白くないのでしょうか？今回はこの小説の評価を徹底分析し、「面白くない」と感じる理由と「面白い」と絶賛する意見の両方を検証します。
個人的には面白いと感じています！作者の著名度から過度な期待をされての酷評もあるようですが、キャラクターの魅力が表現された作品です。とはいえ、世間的な評判は両極端に分かれてますね、、、これから両面で紹介していきます！
『成瀬は天下を取りに行く』とは何か
『成瀬は天下を取りに行く』は2023年に発表された宮島未奈さんのデビュー作で、2024年本屋大賞を受賞した注目作品です。滋賀県大津市を舞台に、中学2年生から高校3年生までの成瀬あかりの成長を描いた6つの短編からなる連作小説です。
物語は主に成瀬の周囲の人々、特に幼なじみの島崎みゆきの視点から語られ、型破りな主人公・成瀬あかりの行動力と純粋さが描かれています。
主な内容は以下の通りです：
- コロナ禍で閉店を控える西武大津店に毎日通い、テレビ中継に映る挑戦
- M-1グランプリへの挑戦
- 自身の髪で長期実験に取り組むなど
この作品は2021年「女による女のためのR-18文学賞」で史上初のトリプル受賞を果たし、その後も多数の賞を受賞する大ヒット作となりました。
「面白くない」と感じる5つの理由
『成瀬は天下を取りに行く』を「面白くない」と感じる理由として、以下のような意見が見られます。
短編集の質にばらつきがある
6つの短編で構成されていますが、「短編の1つが正直つまらない」という声があります。連作短編集の宿命として、すべての話が同じ質で面白いわけではないと感じる読者も少なくありません。
「『成瀬は天下を取りにいく』の感想①｜短編の1つが正直つまらない。」「振り返っても『なんでこの1篇収録したん？』というのが正直なところ」という評価も見られます。
クライマックスが弱い
「『成瀬は天下を取りにいく』の感想②｜クライマックスってこれでいいの？」「個人的に終わり方が腑に落ちず。いわゆる『オチが弱いなぁ』とモニョってます」という意見もあります。物語の最後に大きな盛り上がりがなく、消化不良感を覚える読者も少なくないようです。
キャラクターの薄さ
「キャラ売りしているっぽいですが、成瀬も薄っぺらいというか、とりあえず箇条書した設定帳もとに肉付けしたような、模糊とした印象を受けます」という批判も見られます。主人公の設定が強引に作られた印象を受ける読者もいます。
期待値と現実のギャップ
多くの賞を受賞したことで期待値が上がりすぎ、「期待は全然超えなかったー。」と感じる読者も多いようです。「普通に面白いんだけど、『期待は全然超えなかったー。』というのが正直なところ…」という声もあります。
従来の本屋大賞作品との比較
「『同志少女よ、敵を撃て』『一瞬の風になれ』『夜のピクニック』『蜜蜂と遠雷』『かがみの孤城』『鹿の王』『汝、星のごとく』『流浪の月』『そして、バトンは渡された』『村上海賊の娘』などなど、過去の本屋大賞よりは読み応えがちょっと。。。」という意見もあり、過去の受賞作と比較すると物足りなさを感じる読者も少なくありません。
それでも「面白い」と評価される4つの魅力
一方で、多くの読者から絶賛される理由も明確にあります。
予測不能な主人公の魅力
「成瀬あかりは、普通の中学生とは全然違います。『二百歳まで生きる』という壮大な目標を掲げていて、周りの目なんて全然気にしません」「次の行動が全く読めない」という点が高く評価されています。
「涼宮ハルヒ的な突拍子のなさがあって、愛くるしい」という意見もあり、予測不能なキャラクターとして多くの読者を魅了しています。
リアルな周囲の反応
「特に同級生の島崎との掛け合いがツボで、思わず声を出して笑っちゃいました」「電車の中とか喫茶店とかでは読まない方が良いです。思わず声を出して笑ってしまうかもしれません」など、成瀬の奇想天外な行動に対する周囲の反応が秀逸だと評価されています。
地元愛・共感できる設定
「特に西武百貨店の閉店を巡る展開は、地域の変化や思い出が詰まっていて心に響きます」「地元への愛情が随所に描かれています」と、地元愛が感じられる点も魅力として挙げられています。
エモーショナルな感動
「私は1話の終盤でウルッときました」「最後の章で描かれる成瀬の本音には、グッときました」など、思わず感情移入してしまう展開も多く、エモーショナルな側面も評価されています。
読者層による評価の違い
『成瀬は天下を取りに行く』の評価には、読者層によって違いが見られます。
「現実的な展開を好む人には、成瀬の行動が突飛すぎるかもしれません」
「複雑なストーリーを期待する人には、物語がシンプルに感じるかもしれません」
「地方都市の話題に興味がない人には、共感しにくい部分があるかもしれません」
「主人公の型破りな性格に馴染めない人もいるかもしれません」
このように、読者の好みや期待によって評価が大きく分かれる作品であることがわかります。
期待値が高すぎることの落とし穴
本屋大賞受賞作という肩書きは、時として両刃の剣となります。「本屋大賞」という響きが素直に「面白かった！！！」といえないジレンマを抱える読者も多いようです。
「いつも見ても超行列のラーメン屋さんについに行ってみたら、好みの味じゃなかったみたいな感覚です。美味しかったんだけどねー。好みじゃないんだよなぁ！」という例えは、期待値が高すぎることによる評価のズレを的確に表現しています。
結論：この作品の真の価値とは
『成瀬は天下を取りに行く』は、「面白い」「面白くない」という二極化した評価を受けていますが、それこそがこの作品の特徴と言えるでしょう。
多くの賞を受賞した理由は、型にはまらない新しい主人公像を提示し、コロナ禍という特殊な時代背景の中で自分の道を進む勇気を描いたからこそです。一方で、従来の文学的な「深み」を求める読者には物足りなさを感じさせる側面もあります。
最終的には、「いい人しかいない。平和な世界だけど、退屈はしない。良い刺激がずっと続く」という評価にあるように、この作品は読了後に清々しい気持ちにさせる力を持っていると言えるでしょう。
あなたが『成瀬は天下を取りに行く』を読むなら、過度な期待をせず、一人の少女の型破りな生き方を楽しむ心持ちで臨むことをおすすめします。そうすれば、「面白くない」という先入観を超えた、新しい読書体験ができるかもしれません。
最後に、様々な意見があるからこそ、自分自身で読んで判断することが一番の方法なのかもしれません。あなたにとって『成瀬は天下を取りに行く』は、面白い作品になるでしょうか？それとも面白くない作品になるでしょうか？答えはあなた自身の中にあります。
このように締めくくりましたが、一度読んでみてください！本はやっぱり読んでこそです！
